目標設定の方法——その目標、ただの「ルーティン」になっていませんか?
「目標設定の方法を教えてください」と、よく聞かれます。でも正直に言うと、つまずいている箇所は“方法”の前にあることがほとんどなんですよね。今日は、よくある失敗から逆算して、機能する目標設定のやり方を書きます。
その目標、ただの「ルーティン」になっていませんか?
いちばん多い失敗がこれです。ルーティン業務をやっている人が、そのルーティンをそのまま目標にしてしまう。「請求書を毎月処理する」「問い合わせに対応する」。——これ、達成しても評価は上がらないんですよね。当然です。“こなしているだけ”で、何も変わっていないから。
目標は、そのルーティンの「改善」に置くべきです。処理を何時間短くする、対応の質を上げる、ミスを減らす。改善こそが目標になる。
そしてもし、改善の余地がないほど洗練されているなら——それはもう、人がやる仕事じゃない。機械(AI)にやらせたほうがいい。人の目標は、機械に渡せない“改善と判断”の側に置くべきなんです。
個人が目標を立てられないのは、上が目標を出していないから
次に多いのが「メンバーが目標を立てられない」。でもこれ、本人の能力の問題じゃないことがほとんどです。目標は“接続”だからです。
個人の目標は、チームの目標、組織の目標に接続して、はじめて意味を持つ。接続先がなければ、立てようがありません。上長が「チームとして何を目指すのか」を出していないのに、メンバーにだけ「目標を出せ」と言う——これは無理筋です。
だから、目標設定で最初に動くべきは、メンバーじゃない。上長であり、経営です。(目標が立てられない構造は目標が立てられない会社の人は、毎日なにを目指して働いているのかにも書きました。)
そもそも、経営は目標設定をしていますか?
もう一段、踏み込みます。そもそも経営自身が、目標を設定しているか。
自分(経営・上長)は出していないのに、メンバーにだけ書かせる。これだと目標設定は「評価のための儀式」に成り下がります。順番が、逆なんですよね。
目標は、経営 → 組織・チーム → 個人と、上から接続して降りてくるもの。上流が空っぽなら、下流でいくら丁寧に書いても噛み合わない。(この“上流で勝負が決まる”話は目標管理とは、評価のための作業じゃないで詳しく書きました。)
目標は、ひとりで作らない
もうひとつ、大事なことを。目標は、ひとりで作らないほうがいいです。自分だけで考えると、どうしても甘えが出るか、逆に荒唐無稽になりがちだから。
上司や同僚に相談する——というより、チームで話し合って作るのがいい。そうすると、いいことが3つあります。
- 他のメンバーと、目標の水準を比べられる
- みんなが何を目指しているのかが分かる
- チームで合算したときに成立するか、ヌケモレがないかをチェックできる
僕の整理はこうです。「何を目標にするか(What)」はチームの作業。「それをどう実現するか(How)」は個人の作業。この分け方が、いちばんうまくいくと思っています。
じゃあ、どう立てるか——個人目標のつくり方
上流(組織目標)が出ている前提で、個人の目標をどうつくるか。実践だとこの3つです。
- やりたい×やってほしいを重ねる:会社の方向と本人のやりたいが交わるところに置く。押しつけるとノルマ化します
- 改善を、具体的に:何を、どれだけ、どうやって。「対応時間を20%短くするために、◯◯を自動化する」まで言葉にする。Howがないと共通言語になりません
- 本人の言葉で書く:上司が代筆しない。自分の言葉じゃないと、自分で動けない
良い例と、なんちゃって例を並べるとこうです。
- ✗ なんちゃって:「請求業務を継続する」(ルーティンそのまま。達成しても評価できない)
- ◯ 良い:「請求処理を月20時間→12時間に短縮。AIで明細チェックを自動化し、ミスを月1件以下にする」(改善・具体・組織目標に接続)
AIで“軽く”つくる
ここまでやると「重い」と感じたはずです。実際、手作業でやると目標設定は一大作業になります。だからコレドウは、AIが目標を具体的な共通言語に翻訳し、つくる負担を肩代わりします。上流の組織目標から個人の改善目標まで、接続したまま“軽く”つくれる状態にする。(プロダクトの詳細はこちら)
まとめ
目標設定の方法でつまずくのは、たいてい“方法”の前です。ルーティンを目標にしていないか。上長・経営が、組織目標を出しているか。その接続ができてはじめて、個人の目標は機能します。目標は、評価のための作文じゃなく、改善を前に進めるための共通言語です。(実際にシートへ落とす書き方は目標管理シートの書き方で。)そして、こうして立てた具体的な目標は、こなすほどに“できるようになったこと”=スキルとして貯まっていきます。(その考え方はスキルマップは「作る」ものではなく「貯まる」ものに。)そもそも人が目標に夢中になれないのは設計のせいだ、という話をゲームの視点から書いたレベルデザインの話もどうぞ。(目標・対話・評価をひとつの循環として回す全体像はパフォーマンスマネジメントとはに。)