コレドウ
目標管理

「定性目標」なんて、存在しない——「本を5冊読みます」を目標と呼ばないために

曽良 竜太 (コレドウ代表取締役)
「定性目標」なんて、存在しない——「本を5冊読みます」を目標と呼ばないために

この記事の要点

  • 「本を5冊読みます」は目標ではない。期初に緩く握った定性目標は、期末に「10冊読んだので200%達成です!」という地獄を生む
  • 僕は「定性のままの目標」なんて存在しないと思っている。期日を切り、状態を定義すれば、目標は必ず定量になる
  • そのうえで持論をひとつ。外部要因に左右される成果はボーナスに、再現性のある能力は基本給に。こちらのほうがフェアだ

「定性目標って、どう評価すればいいんですか?」——目標設定の話をしていると、必ず聞かれる質問です。

先に僕の答えを言ってしまうと、こうなります。定性のままの目標なんて、存在しない。正確に言えば、「定性的だから測れません」という目標は、まだ目標になっていないだけです。

「本を5冊読みます」を目標と呼ぶな

よくあるんですよ。「マーケティングについて勉強する。そのために本を5冊読む」みたいな目標。

正直、それは勝手にやってくれと思うわけです。本を読むのは手段であって、成果ではない。それをしたら、なぜあなたの給与が上がるのか?——そこを考えてほしいんです。

で、もっと問題なのはこの先です。目標設定の時点では、上司も「まぁいいか、それで。面倒くさいし」と緩く握ってしまう。ところが期末になると、本5冊くらいは流石に読めてしまうので、「できました」が出てくる。なんなら「10冊読んだので、200%達成です!」みたいなことになる。でも期初に握っちゃっているものだから、「いやいや、それはさ……」と言うと揉める。これ、本当に最悪です。揉めている姿まで含めて、何度も見てきました。

ちなみに「数字が入っていればいい」わけでもありません。以前聞いた会社では、「1年で10kg痩せます!」という目標が出てきて、上司が「1年で10kgは健康に悪いから、5kgにしようか」と真面目にレビューしていたそうです。立派に定量ですが、仕事の成果とは何の関係もない。数字の見た目をしているかどうかは、本質じゃないんです。

期日を切って、状態を定義する。それだけで目標は定量になる

じゃあ、定性的なテーマを目標にしたいとき、どうするか。やることは2つだけです。期日を切る。そして、状態を定義する。

状態の定義とは、「いつまでに、どんな状態になっていたら達成か」を言葉にすることです。そして断言しますが、定量の状態は必ず定義できます。

  • 「顧客満足度を上げる」→ 期末のアンケートで「満足」が8割以上いる状態
  • 「リーダーシップを発揮する」→ 自分がリードするプロジェクトが3件以上立案され、達成されている状態

「リーダーシップ」みたいな、いかにも測れなさそうな言葉でも、状態に翻訳すれば測れる。逆に、状態に翻訳できないなら、それは本人も上司も「達成した姿」を想像できていないということです。想像できていないものは、目指せません。(この"どうなったら達成なのか"まで言葉にする話は、目標設定の方法でも書きました。)

冒頭の「本を5冊読む」も、こう変わります。読むこと自体は手段なので、状態で書く——「11月末までに、学んだフレームワークを使った改善提案が2件実行され、リード獲得数が前四半期を上回っている状態」。ここまで来ると、もう定性目標とは呼びませんよね。だから、定性のままの目標なんて存在しない。あるのは、状態の定義がまだ済んでいない目標だけです。

それでも「定性っぽい目標」には、居場所がある

ここまで読むと「じゃあ全部売上目標でいいじゃん」と思われそうですが、そうではありません。いわゆる定性っぽい目標——能力開発系や、プロジェクト系の目標——には、ちゃんと居場所があるべきだと思っています。

理由はシンプルで、組織でやっている以上、成果は個人の能力だけでは決まらないからです。ビジネスモデルが強かった、上司が良かった、たまたまクライアントに恵まれた——いわゆる定量の成果目標には、外部要因が大きく乗ります。つまり、成果の数字は再現性が低く、その人の能力が反映されているとは言い難い。

持論:成果はボーナスに、能力は基本給に

だから僕は、こう考えています。外部要因に左右される成果は、ボーナスに反映させる。そして、再現性のある能力——いわゆるコンピテンシー——を、基本給に反映させていく。

成果が出た期は、賞与でしっかり報いる。でもその人の「基本の値段」は、どんな環境でも再現できる能力で決める。こちらのほうがフェアだし、能力の積み上げに報いる構造は、組織の成長にもつながると思っています。

そしてこの「再現性のある能力」は、日々の目標を具体的に立てて、達成を事実で判定していく先に、記録として貯まっていくものです。(この話はスキルマップは「作る」ものではなく「貯まる」ものに書きました。)

まとめ:定性目標は、翻訳が済んでいないだけ

  • 「本を5冊読む」は手段であって目標じゃない。緩く握ると、期末に「200%達成です!」で揉める
  • 期日を切って、状態を定義する。「いつまでに、どんな状態か」。定量の状態は必ず定義できる
  • 成果はボーナスへ、再現性のある能力は基本給へ。そのほうがフェアで、組織も成長する

定性目標に必要なのは、数値をひねり出すことではなく、達成した姿への翻訳です。そしてこの翻訳、慣れないうちは結構むずかしい。コレドウでは、ふわっとした目標を「期日と状態のある共通言語」へ翻訳するところを、AIが伴走します。(プロダクトの詳細はこちら

期初にゆるく握って、期末に揉める。そのループは、今期で終わりにしましょう。

関連記事