評価が「イベント化」する理由と、日常に戻す方法
評価の時期が近づくと、会社全体がなんだかソワソワし始める。普段は誰も目標の話なんてしないのに、急に「目標シート出してください」「自己評価書いてください」と連絡が飛び交う。そういう光景、よく見ます。
これ、評価が「イベント」になっている状態なんですよね。300社くらい話を聞いてきましたが、ほとんどの会社で評価は半期に1回、年に1回の一大イベントになっている。そして、イベントになっているからこそ、評価はしんどくて、複雑で、形骸化していく。今日はその構造と、抜け出し方を書いてみます。
評価の「イベント化」とは何か
イベント化というのは、評価が日常から切り離されて、特定の時期にだけ発生する行事になっている状態のことです。期初に目標を立てる。期中はなんとなく進む。期末にまとめて評価する。この「期初に考えて、期末に評価する」という時間設計そのものが、評価をイベントにしているんですよね。
イベント化すると、何が起きるか
評価がイベントになると、すべてが期末に寄ってきます。
- 何をやっていたかを思い出す
- 評価のためのロジックを後から組み立てる
- 納得してもらうための説明を用意する
これを短期間でやろうとするから、評価はしんどい。しかも「その時期だけ頑張る」「あとから辻褄を合わせる」が常態化する。そして厄介なのは、ここで多くの会社が「制度が悪いんだ」と考えて、項目を増やし、定義を細かくしてしまうこと。複雑にするほど運用は重くなって、もっと回らなくなる。複雑さが原因なのに、複雑さで解こうとしている。完全に悪循環なんですよね。
なぜ「制度をいじる」と逆効果なのか
評価がうまくいかないと、つい制度の中身(項目・配点・定義)をいじりたくなります。でも見てきた限り、制度をピカピカにしても運用は良くなりません。だって、どんなに立派な制度でも、結局それを回すのは現場のマネージャーだからです。制度を複雑にすればするほど、マネージャーの負荷が増えて、忙しい時期から運用が抜け落ちていく。問題は制度の中身じゃなくて、「評価をイベントとして設計してしまっている構造」のほうにあるんだと思っています。
日常に戻すヒント:イベントにできないくらい短くする
面白い会社の話があります。300社近く聞いた中で、唯一「目標も評価も課題はない」と言い切った会社があって。聞いてみたら、評価期間と目標設定期間を合わせても1週間しかないらしいんです。最初は意味が分からなかった。短すぎる、と。
でも、よく考えるとこれが本質を突いていて。1週間しかないと、そもそも評価をイベントとして準備する時間がない。後から辻褄を合わせる余地もない。だから逆説的に、日常でやるしかなくなる。週1の1on1で目標を擦り合わせて、その都度ズレを潰しておく。すると評価のときには「いつも話してる内容ですもんね」で終わる。つまり、評価をイベントにできない構造にすると、自然と日常化する。前提を壊すと、設計はむしろシンプルになるんですよね。
評価を日常に戻すために、明日からできること
いきなり評価期間を1週間にするのは難しくても、考え方は真似できます。
- 目標を期初の一発勝負にせず、月次・週次で軽く見直す
- 1on1の中で「目標どうなってる?」を普通に話す
- 評価のためでなく、前に進めるために目標を使う
ポイントは、評価を「最後に点数をつけるイベント」ではなく「日々の対話の積み重ねの確認」にしていくこと。そうすると、マネージャーも期末にまとめて頑張らなくてよくなって、むしろ楽になります。
まとめ:問題は制度の中身じゃなく、時間の設計
評価が形骸化するのは、制度が悪いからじゃなくて、「期初に立てて期末に評価する」という時間設計が、評価をイベントにしているから。イベントになるから複雑化して、複雑だから回らなくなる。だから僕らがコレドウでやりたいのも、制度をいじることじゃなくて、日々のマネジメントの結果が自然と評価につながる状態をつくることです。複雑な制度と日常マネジメントの接続はAIに任せて、マネージャーの手間を減らす。評価を「やりっぱなしの行事」から「日常の延長」に戻していく。
そうやって日々の対話が積み重なると、そこに共通言語が生まれて、文化になって、最終的には働くのが少し楽しくなる。評価って本来、人を裁くためじゃなくて、組織が前に進むためにあるはずなんですよね。